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規格リファレンス

ISO 18203 — 表面硬化層の厚さの求め方

鋼の硬化層深さ測定の現行規格番号。どの記号がどの処理に対応するか、なぜ三つの限界硬さが異なるか、硬さ分布から深さをどう読むか、そして図面で一続きに書くための指示例。

ISO 18203
関連サービス熱処理
試験・測定ISO 18203
別の表記EN ISO 18203, ISO 2639 (case hardening depth — superseded by this document), ISO 3754 (surface hardening depth — superseded by this document), DIN 50190-1 / -2 / -3 (Eht · Rht · Nht), SAE J423 (inch practice for measuring case depth), ISO 6507-1 (the hardness test the traverse is made with)
更新

適用範囲 — および対象外の事項

ISO 18203 は、鋼の硬化層深さの定義を一つの規格番号にまとめた文書です。浸炭・浸炭窒化後の有効硬化層深さ (CHD)、窒化・軟窒化後の窒化硬化層深さ (NHD)、高周波焼入れ・炎焼入れ後の表面硬化層深さ (SHD) を扱い、それぞれについて限界硬さの取り方、断面試料でのマイクロビッカース硬さ分布の測り方、結果から深さを読む方法を定めます。一方で、その部品に必要な深さを決めるものではなく、既定値が材料に合わないときに限界硬さを代わりに選んでくれるものでもなく、硬さではなく金属組織で厚さを測る層は対象外で、図面の代わりにもなりません。図面には記号・深さ範囲・限界硬さ・試験力・測定位置を明記する必要があります。

規格は著作権のある文書です。当社は範囲・意図・実務上の適用を自らの言葉で説明しています。最新版は ISO、ASTM、DIN または各国の規格機関から入手してください。

生産で実際に効いてくる条項

  • 1硬化層深さの定義は現在この番号の下にあります。浸炭層に ISO 2639、高周波焼入れ層に ISO 3754 を引用している図面は、この規格が置き換えた文書を引用していることになります。番号が変わっても測定原理は変わらないので旧来の指示でも作業は成立しますが、新規図面は現行番号を書くべきです。CHD の硬さ分布測定そのものの詳細は、本規格集の ISO 2639 のページで掘り下げています。
  • 2三つの処理に三つの限界硬さルール、そのうち固定値は一つだけです。550 HV は浸炭層について取り決められた慣行値であり物理的な境界ではありません。NHD は芯部硬さ +50 HV まで、SHD は図面が要求する最低表面硬さの 80 % まで取ります。窒化品や高周波品に「550 HV1」と書くのは、規格が定義していない測定を求めることになります。
  • 3三つのうち二つは限界が部品側で動きます。高周波品の最低表面硬さを上げれば SHD の限界硬さも上がり、同じ層が浅く報告されます。窒化品を軟らかく焼戻せば芯部硬さが下がり NHD の限界硬さも下がるので、同じ層が深く読めます。どちらも測定ミスではなく、ルールが書かれたとおりに働いた結果です。
  • 4深さは選ぶのではなく内挿します。圧痕は硬さ規格の間隔規定に従って打つため、限界硬さの上にちょうど乗ることはほとんどありません。したがって深さは、その値を挟む二点の間から読みます。最も近い圧痕で丸めるのは、浅い硬化層で報告深さを 0.02–0.05 mm 失う典型的なやり方です。
  • 5硬さ分布測定には、その数値に意味があるかどうかを決める幾何的な決まりがあります。断面は表面に垂直に切り、圧痕は定められた狭い帯の中に収め、研磨でエッジをだれさせず、深さは「最終表面」から測ります。焼入れ後に研削や転造をする部品は、炉に入れたときの表面ではなく出荷時の表面が起点です。
  • 6三つのうち当社で測る値は一つで、残る二つは図面に載って入ってくる値です。当社は小物締結部品を量産で浸炭・浸炭窒化しているので、CHD は自社工程品を自社試験室で測る値です。窒化・高周波焼入れ・炎焼入れはいずれも当社の工程ではありません。NHD と SHD をここに載せているのは客先図面に出てくるからであり、見積り以前に定義を正しく読む必要があるからです。窒化品の化合物層(白層)厚さは金属組織による測定で NHD とは別量であり、必要なら別途指定します。

参照表

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硬化層深さの三つの記号を並べて比較

硬化層深さの三つの記号を並べて比較
硬化層をつくる処理記号限界硬さ通常の試験力図面の一行の書き方
浸炭・浸炭窒化 — 炭素、または炭素と窒素を拡散させた後に焼入れCHD550 HVHV 1 (9.807 N)CHD 550 HV1 = 0.15–0.30 mm
窒化・軟窒化 — 変態温度より低い温度で窒素を拡散、焼入れなしNHDcore HV + 50HV 0.5 (4.903 N)NHD 350 HV0.5 = 0.10–0.25 mm
高周波焼入れ・炎焼入れ — 元素は入れず、鋼中の炭素を表層で局部的に変態させるSHD0.8 × min. surface HVHV 1 (9.807 N)SHD 400 HV1 = 1.0–2.0 mm

一般的な実務であり保証ではありません。限界硬さが固定値なのは浸炭の行だけで、他の二つは部品側から計算します — 一方は実測した芯部硬さから、もう一方は図面が要求する最低表面硬さから — したがって部品が変われば限界硬さも動きます。図面例が示すのは「書式」であり、記号・限界硬さ・試験力・深さ範囲を一続きに書く形で、推奨深さではありません。ドイツ語図面では同じ三つを Eht、Nht、Rht と書きます。

本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。

図面・注文書に書くべきこと

  • 一行に全部書くこと。記号・限界硬さ・試験力・深さ範囲、例えば「CHD 550 HV1 = 0.15–0.30 mm」。数値一つではなく四つの量です。隣に規格番号を書き、品質システムが版の明示を求めるなら適用版も併記します。
  • 測定位置と切断面:ねじ側面・谷・山、軸部、首下 R、または一緒に流した試験片。形状によって正しい答えが複数あり得る場合はスケッチを添えます。
  • 表面硬さと芯部硬さをそれぞれ独立した要求として書くこと。NHD と SHD の限界はそこから導かれます。高周波品では最低表面硬さが二役を担い、深さの判定基準まで決めています。
  • どの面を「表面」とするか:焼入れまま、研削後、転造後のいずれか。深さは仕上げ面から測るので、焼入れ後に除去した取代はそのまま数値を変えます。
  • 抜取りと報告:ロットあたりの本数、破壊試験用の犠牲品や随伴試験片を認めるか、そして硬さ分布そのもの — 計算後の深さだけでなく各点の実測値 — をロットに添付する必要があるか。

引用が曖昧なときに起きること

  • 「ISO 18203 による硬化層深さ = 0.3 mm」とだけ書いて終わること。規格は三つの深さを三つの限界で定義しているので、この番号の下に裸の数値を置くと、指定はむしろ弱くなります。
  • 見慣れているという理由で 550 HV1 を窒化品や高周波品に流用すること。これは浸炭層のための値で、他の二記号には独自のルールがあり、規格どおり作る供給者はこの値を使いません。
  • 限界硬さを挟む二点で内挿せず、最も近い圧痕の位置で深さを報告すること。深い層では誤差に紛れますが、浅い層では結果そのものを左右します。
  • 高周波品の最低表面硬さを引き上げておきながら、SHD の要求は変わらないと考えること。表面要求を上げれば限界硬さが上がり、報告される深さは短くなります。昨日は両方合格だった部品が、炉の中は何も変えていないのに今日は片方を外すことがあります。
  • 厚さを硬さで定義していない層に硬化層深さの記号を当てること。化合物層、塗膜、めっき厚は別の方法で測る量であり、別の行に書くべきです。

よくあるご質問

ISO 2639 はまだ有効ですか。図面を変えなければいけませんか。+

定義は ISO 18203 に移り、浸炭層・窒化層・高周波焼入れ層をまとめて扱っています。ISO 2639 を引用したままの図面でも見積りは可能です。そのまま送っていただければ、その図面が示す判定基準で加工し報告します。引用規格の差し替えは図面変更であり、貴社自身の改訂手続きで行うべきものです。熱処理業者が証明書上で規格番号を黙って書き換えることこそ、初品が不合格になる典型です。

CHD・NHD・SHD の違いは何ですか。+

同じ考え方を三種類の層に当てはめたものです。CHD は浸炭・浸炭窒化層で、慣行として固定値の 550 HV まで測ります。NHD は窒化層で、芯部硬さ +50 HV まで測ります。窒化層はもともと硬い芯の上に載っているからです。SHD は高周波・炎焼入れ層で、指定された最低表面硬さの 80 % まで測ります。鋼に元素を加えていない以上、深さの判定基準は図面が表面に求めた値に紐づけるほかないからです。

御社の試験室で硬化層深さを報告できますか。+

社内の金属組織試験室で断面を切り出しマイクロ硬さ分布を測定しますので、当社で処理した浸炭・浸炭窒化品の CHD はここで測り、試験条件を報告書に明記します。窒化・高周波焼入れ・炎焼入れは当社の工程ではないため、引合いに NHD や SHD の要求がある場合は、見積りではなく他工程への振り分けの話になります。本ページの定義は、部品がどこへ回るにせよ要求を正しく読むためのものです。

本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。

図面をお送りください。本規格と突き合わせて確認します

現状の図面または仕様の記載、強度区分やめっき要求、ねじ寸法と公差域、可能であれば実物をお送りください。記載どおりに加工できる項目、そのねじでは計算上成立しない項目、そして要求が見積・検査・説明可能になるために追記が必要な項目をお伝えします。

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