DIN 267 — ドイツの「技術的納入条件」シリーズ:廃止された部と、いまも有効な部
DIN 267 は一つの規格ではなくシリーズです。廃止された部といま何を指定すべきか、現行の部はどれか、第9部が ISO 4042 と DIN 50979 / ISO 19598 にどう移ったかを整理します。
| 関連サービス | 亜鉛めっき Cr3+ |
|---|---|
| めっき・皮膜 | DIN 267 |
| 別の表記 | DIN 267 (Mechanische Verbindungselemente — Technische Lieferbedingungen), DIN 267 Teil 9 / DIN 267-9 (withdrawn), DIN 267-2:2017-06 (current — surface roughness), DIN 267-27 / DIN 267-28 (current — coated screws), DIN 267-30 / DIN 267-31 (current — thread-rolling screws 10.9), DIN ISO 8992 (general requirements today) |
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適用範囲 — および対象外の事項
DIN 267(Mechanische Verbindungselemente — Technische Lieferbedingungen)は、締結部品の技術的納入条件を定めたドイツの多部構成シリーズです。熱処理工場やめっき工場がかつて満たしていた部の多くは廃止されました。ISO や EN の文書が発行されるにつれて、その内容がそちらへ移ったからです。それでも現行のまま残り、いまも新しいドイツ図面に出てくる部がいくつもあります。だから「DIN 267 はもう古い」という決めつけは、部番号なしに番号だけを引用するのと同じくらい間違いです。今日このシリーズがやらないのは、何をめっきするか、ねじが受けられる膜厚はどれだけか、水素脆性をどう除去するかを指示することです。それは ISO 4042 とめっき記号体系の役目で、それぞれ専用ページがあります。このページが扱うのは文書のステータスだけです。図面のドイツ規格番号がいま何を意味するのか、意味しないなら代わりに何を書くのか。
規格は著作権のある文書です。当社は範囲・意図・実務上の適用を自らの言葉で説明しています。最新版は ISO、ASTM、DIN または各国の規格機関から入手してください。
生産で実際に効いてくる条項
- 1注文書に「DIN 267 による」とだけ書いてあっても仕様にはなりません。シリーズには主題も運命も異なる多くの部があり、部番号と版の日付がなければ見積もできず、検査もできません。
- 2古いめっき図面がほぼ必ず指しているのは第9部で、それは廃止済みです。「めっきした締結部品が満たすべきこと」は ISO 4042 に移り、めっきの記号は DIN 50979 に移りました。その DIN 50979 も、DIN 自身のカタログでは DIN EN ISO 19598 に置き換えられた扱いになっています。手元の図面から現行文書までは二段跳びで、両方を意識して跳ぶ必要があります。
- 3古い第9部の指示には、たいてい六価クロム系の色(黄色やオリーブ)が付いています。その化学こそ新しい文書が置き換えるために書かれた対象です。再現すべきは膜厚と腐食判定基準であって、もう存在しない槽の色ではありません。
- 4DIN 267-2 という番号は生き残りましたが、中身が入れ替わりました。1984 年版は形状と寸法精度、2017-06 版は製品等級 A・B の表面粗さです。古い図面の DIN 267-2 と新しい図面の DIN 267-2 は別々の要求で、見分けられるのは版の日付だけです。
- 5いまめっきラインに直接関わる部は第27部と第28部です。接着剤をあらかじめ塗布したねじと、プリベリングトルク型のゆるみ止めを塗布したねじ。これらの塗布層はめっきと化成処理を終えた面の上に乗ります。したがって、めっき → ベーキング → 塗布 の順序と、機能試験を誰が負うのかを、部品が動き出す前に決めておかなければなりません。
- 6第30部と第31部はメートルねじの転造タッピンねじ(強度区分 10.9)を扱い、第31部はねじ転造部の追加硬化を求めます。第30部の適用範囲は小径かつ相手材が比較的軟らかい場合に限られているので、寸法と相手材硬さの上限は現行版から読んでください。10.9 はめっき規格が水素脆性除去を求める強度水準より上なので、めっきする転造ねじではベーキングは選択肢ではなく前提です。
参照表
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廃止された部 — そして今その内容はどの規格で読むか
| 廃止された部が扱っていた内容 | DIN 267 の部と版 | 今どの規格で読むか |
|---|---|---|
| 締結部品の一般要求事項 | DIN 267-1:1982-08 | DIN ISO 8992 |
| 鋼製ボルト・ねじの強度区分 | DIN 267-3:1983-08 | ISO 898-1 |
| ナットの強度区分(旧区分) | DIN 267-4:1983-08 | ISO 898-2 (DIN EN 20898-2) |
| 受入検査 | DIN 267-5:1986-02 | ISO 3269 |
| 電気めっきを施した部品 | DIN 267-9:1979-08 | ISO 4042 + DIN 50979 → DIN EN ISO 19598 |
| 溶融亜鉛めっき部品 | DIN 267-10:1988-01 | ISO 10684 |
| ステンレス鋼締結部品 | DIN 267-11:1980-01 | ISO 3506-1 / -2 / -3 |
| ボルト・ねじの表面欠陥 | DIN 267-19:1984-10 | ISO 6157 (DIN EN 26157-1 / -3) |
| 形状と寸法精度 — 旧第2部 | DIN 267-2:1984-11 | DIN 267-2:2017-06 (new subject) · ISO 4759-1 |
上記の状態と版の日付は、2026年8月に DIN 自身のカタログで部ごとに個別に確認しました。右列は「今その内容がどの文書にあるか」を示します。多くの部では DIN が後継文書を明示していますが、第3部については当方が見た項目に後継の記載がありませんでした。したがってこの列は「今なにを指定すべきか」であって法的な同等性ではありません。本ページに載っていない部は、状態を確認できなかった部であり、状態を断定しません。
確認時点で現行だった部
| 内容 | 確認時点で有効な部と版 |
|---|---|
| 製品等級 A・B の表面粗さ | DIN 267-2:2017-06 |
| −200 °C〜+700 °C で使用するボルト継手用部品 | DIN 267-13:2007-05 |
| 同じ温度用途の部品の製品等級 | DIN 267-29:1993-08 |
| 保証荷重を規定しないナットの硬さ区分 | DIN 267-24:2007-10 |
| ばね鋼製の皿形ばね座金 | DIN 267-26:2005-12 |
| 接着剤をあらかじめ塗布したねじ・ボルト・スタッド | DIN 267-27:2024-07 |
| プリベリングトルク型のゆるみ止め塗布をしたねじ・ボルト・スタッド | DIN 267-28:2026-02 |
| メートルねじ タッピンねじ(転造)強度区分 10.9 | DIN 267-30:2016-12 |
| 強度区分 10.9 のねじ転造部を追加硬化したもの | DIN 267-31:2020-02 |
2026年8月に DIN のカタログで確認。版は動きます。第13部には後継版がすでに公表され、第28部は最近版が変わりました。引用するときは「部番号」と「版の日付」を必ずセットで書き、引用前に現行版を確認してください。本ページは道しるべであって登録簿ではありません。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
図面・注文書に書くべきこと
- 常に「部番号」と「版の日付」を書く。シリーズ番号だけは不可。DIN 267 ではなく DIN 267-2:2017-06 と書く。
- 古い DIN 267 の行の意図がめっきなら、いまの言葉で書き直す。めっき金属、µm 単位の最小局部膜厚、化成処理の種類、シールの有無、そして腐食判定基準と試験規格。
- 旧来の六価クロムの外観を六価フリー系で近似する必要があるかどうか。外観と腐食判定基準を同時に満たせない場合、どちらを合否の基準にするか(外観・膜厚・塩水噴霧)。
- 該当する強度区分の水素脆性除去ベーキング:温度、最短保持時間、めっき後に許される最大待ち時間。
- 第27部・第28部が適用されるなら、ゆるみ止めや接着剤を誰が塗布するか、めっきとベーキングに対する前後関係、機能試験を誰が実施し誰が報告するか。
- 第2部が適用されるなら、粗さ要求がどの面にかかり、いくつを要求するか。圧延・引抜き・鍛造のままの面は電気めっきで滑らかにはなりません。要求は槽に入る前に満たされている必要があります。
引用が曖昧なときに起きること
- 図面や注文書に「DIN 267」とだけ書く。番号の後ろに単一の文書は存在しないので、その行は見積不能になり、あとで「何を意図していたのか」の争いになります。
- 第9部の記号を六価フリーのラインに送り、結果を色で判定する。旧記号と現行の化学は一字一句では対応できず、要求ごとにしか対応できません。
- シリーズ全体を死んだものとして扱う。当方が確認した時点で第2・13・24・26・27・28・29・30・31 部は有効でした。「DIN 267 は古いから」と図面を突き返すのは、現行の実在する要求を黙って捨てることです。
- 古い図面の DIN 267-2 を今日の DIN 267-2 と同じだと思い込む。一方は寸法精度、他方は表面粗さ。同じ番号で別の要求です。
- サプライヤーのカタログや掲示板の書き込みからステータスを写す。ステータスは変わります。根拠になるのは規格団体自身の現行項目だけで、要求が契約に入る前にもう一度確認する価値があります。
よくあるご質問
DIN 267 は廃止されたのですか。+
一部です。2026年8月に DIN 自身のカタログで確認した時点で、第1・3・4・5・9・10・11・19 部は廃止、第2・13・24・26・27・28・29・30・31 部は有効でした。上の二つの表には、確認できたものだけを載せています。お手元の部番号が表になければ、それは当方がステータスを確認できなかった部であり、当方は状態を断定しません。引用の前に DIN のカタログか貴社の規格部門で確認してください。
古いドイツ図面に DIN 267 Teil 9, galvanisch verzinkt, 8 µm, gelb chromatiert とあります。どうすればよいですか。+
現在の工場が見積できる二つの決定に翻訳します。ひとつは亜鉛:8 µm を、指定した重要表面上の最小局部膜厚として読む。もうひとつは化成処理:その行の黄色は六価クロム処理によるもので、今日の対応は三価化成処理です。そして、外観と腐食判定基準を同時に満たせない場合にどちらを合否基準とするかを明記してください。原文のままの行を含む図面をお送りいただければ、部品形状に対して何がどこまで可能かを一項目ずつ確認して回答します。
DIN 267 は ISO 4042 や DIN 50979 とどうつながっていますか。+
一本の鎖の三つの輪です。DIN 267-9 は電気めっきした締結部品に対するドイツの納入条件でした。ISO 4042 はその領域を今日引き継いでいる締結部品専用の文書で、ねじがめっきに使える余裕や水素脆性の除去も扱います。DIN 50979 は亜鉛・亜鉛合金めっきと六価クロムフリー化成処理の記号体系でしたが、DIN のカタログでは DIN EN ISO 19598 に置き換えられた表示になっています。図面は、判定の基準にしたい現行文書を一つ選び、それに従うべきです。めっき記号の読み方は当社の DIN 50979 ページ、ねじの膜厚計算は ISO 4042 ページにあります。
DIN 267 の特定の部に従って加工できますか。+
当社は番号ではなく、その部の後ろに書かれた要求に対して見積します。小型締結部品の熱処理と電気亜鉛めっきを量産で行い、自社試験室で硬さ、めっき膜厚、中性塩水噴霧を測定できますので、その言葉で書かれた要求はお答えできます。保有する認証は ISO 9001:2015 のみで、DIN のライセンスも製品認証もありません。第27部・第28部の背後にあるプリベリングトルクや接着ゆるみ止めの機能試験のように、当社が行わない試験を求める部については、そう申し上げます。その試験は当該塗布を行う側に残ります。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
関連規格
本リファレンス内の他の規格
図面をお送りください。本規格と突き合わせて確認します
現状の図面または仕様の記載、強度区分やめっき要求、ねじ寸法と公差域、可能であれば実物をお送りください。記載どおりに加工できる項目、そのねじでは計算上成立しない項目、そして要求が見積・検査・説明可能になるために追記が必要な項目をお伝えします。
お見積り依頼には 24 時間以内に返信します。