ISO 898-2 — 強度区分と保証荷重を規定するナット
ISO 898-2 のナット区分の使い方:保証荷重、組み合わせるボルト区分、スタイル 1 と 2 の違い、薄形ナット、そして発注前に図面へ書くべき事項。
| 関連サービス | 熱処理 |
|---|---|
| 機械的性質 | ISO 898-2 |
| 別の表記 | ISO 898-2:2022, ISO 898-2:2012 (superseded), ISO 898-6 (merged into Part 2), JIS B 1052-2, ASTM A563 (inch counterpart) |
| 更新 |
適用範囲 — および対象外の事項
ISO 898-2 は、炭素鋼・合金鋼製ナットの機械的性質を、おおむね M1.6〜M39 の並目・細目ねじについて、強度区分 04、05、5、6、8、10、12、スタイル 1 および 2 として規定します。2012 年版で旧 ISO 898-6 が統合され、保証荷重で規定するナットと硬さで規定するナットが一つの文書になりました。ステンレスナット(ISO 3506-2)、プリベリングトルク(緩み止め)性能(ISO 2320)、溶接ナット、高温用途のナットは対象外です。
規格は著作権のある文書です。当社は範囲・意図・実務上の適用を自らの言葉で説明しています。最新版は ISO、ASTM、DIN または各国の規格機関から入手してください。
生産で実際に効いてくる条項
- 1区分の数値 × 100 が、保証荷重下でナットが受け持つべき応力のおおよその値です。だから区分 8 のナットは区分 8.8 のボルト用、区分 10 は 10.9 用です。
- 2保証荷重試験は機能試験です。焼入れしたねじマンドレルで荷重をかけ、ねじ山が飛ばず、試験後に取り外せることを確認します。硬さでは証明できません。
- 3表の実際の保証応力は、ねじの呼び径・スタイル・ナット高さで変わります。スタイル 2 は背が高く、硬さが低めでも区分に到達させる手段です。
- 4区分 04・05 は薄形ナットや面取ナットのもので耐荷重が大きく下がります。数値を全高ナットと並べて比較できません。
- 5設計意図は「ねじ山が飛ぶ前にボルトが破断する」ことです。ナットを「ボルトと同じ硬さ」にすると意図が壊れ、脆性リスクが増します。
- 6めっきはねじのはめあいと摩擦の両方を変えます。したがってタップの順序 — めっき前にオーバータップか、めっき後にタップか — も仕様の一部です。
参照表
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ナット区分 → 保証応力 → 組み合わせるボルト区分
| ナット強度区分 | 呼び保証応力 (MPa) | 組合せボルト区分(最大) | 代表硬さ (HV) |
|---|---|---|---|
| 04 | 380 | — | 188–302 |
| 05 | 500 | — | 272–353 |
| 5 | 500 | 5.8 | 130–302 |
| 6 | 600 | 6.8 | 150–302 |
| 8 | 800 | 8.8 | 180–302 |
| 10 | 1040 | 10.9 | 272–353 |
| 12 | 1150 | 12.9 | 295–353 |
呼び値です。実際の保証応力はねじの呼び径、ナットのスタイル(1 または 2)と高さで変わります。有効版の表で確認してください。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
図面・注文書に書くべきこと
- ナットの強度区分とスタイル(1 または 2)、および寸法規格(例:ISO 4032 並形、ISO 4033 高形、ISO 4035 薄形)。区分は対応する高さでしか成立しません。
- 組み合わせるボルト区分。締結体の想定破壊モードを記録に残すためです。
- ロットごとの保証荷重試験の要否、抜取数、報告書を納入時に添付するか。
- 皮膜、およびねじをめっき前に加工するか後に加工するか(前の場合はオーバータップ量)。
- 緩み止め/プリベリングトルク要求がある場合は、独立した行として該当規格とともに記載します。
引用が曖昧なときに起きること
- 薄形ナットの寸法に高い区分を並べて書く。高さが足りず、どんな熱処理でも薄形ナットが区分 10 の保証荷重を受けることはできません。
- 「ボルトと同じ硬さで」と依頼する。ナットの硬さは意図的に上限が設けられており、硬すぎるナットこそ現場で割れます。
- 保証荷重試験をナット端面の硬さ測定で代替する。表面だけ硬く内部が軟らかいねじは硬さ検査を通過し、荷重でねじ山が飛びます。
- めっきナットを発注しながらタップ順序を指定せず、ゲージが通らなくなる。
よくあるご質問
10.9 のボルトにはどの区分のナットですか。+
区分 10 で、そのサイズについて表が要求するスタイルを用います。要点は、ねじ山を飛ばさずにボルトの保証荷重を発揮できることです。10.9 の締結部に区分 8 を使うと、破壊モードが黙って変わります。
ナットの熱処理は対応していますか。+
対応しています。小径ナットも他の小物と同様にロットで処理し、区分の硬さ帯へ焼入焼戻しします。完成ナットが区分を満たすかの確認は保証荷重試験で行い、通常は完成品仕様を保有する側が手配します。
区分 8 のナットは区分 8.8 のボルトと同じですか。+
違います。ボルトの区分は数字が二つ、ナットは一つです。区分 8 のナットは 8.8 のボルトと組む設計ですが、二つの数字の背後にある試験は別物です。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
関連規格
本リファレンス内の他の規格
図面をお送りください。本規格と突き合わせて確認します
現状の図面または仕様の記載、強度区分やめっき要求、ねじ寸法と公差域、可能であれば実物をお送りください。記載どおりに加工できる項目、そのねじでは計算上成立しない項目、そして要求が見積・検査・説明可能になるために追記が必要な項目をお伝えします。
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