
ばね — 表面品質、セッチング、そして焼戻しを壊してはならないベーキング
ばねはエネルギーを表面に蓄えます。脱炭はそれを台無しにし、バレルの擦り傷は疲労き裂の起点になり、ボルトを救うベーキングはばねをへたらせます。線材規格、試験長さでの荷重、非電解という選択肢。
主要仕様の一覧
| ねじ・寸法規格 | EN 10270 / JIS G 3522 · no thread |
|---|---|
| 公差域クラス | ねじがないため、ISO 965 も ISO 1502 も適用されません。 |
| バレル可能範囲 | not used — coils tangle and nick |
| ラック / バスケット | wire ø0.5 – ø6 mm, free length ≤ ≈ 100 mm |
| 強度の規定 | no property class — wire grade + load at test length |
| ISO 4042 ベーキング | リスク大 — 非電解皮膜を検討 |
| 確認日 | 2026-08-04 |
ばねはエネルギーを線材の表面に蓄えます。この一点が、脱炭がばねを台無しにする理由、バレルで拾った擦り傷が発生を待つ疲労き裂である理由、そしてボルトを救うベーキングがばねをへたらせる理由を説明します。最後の数百分の1ミリで起きることにこれほど敏感な部品は、ほかにありません。
この形状がこの工程になる理由
コイルは絡みます。圧縮ばねを詰めたバレルからは、傷だらけの線が塊になって出てきます。その傷はすべてコイルの外表面、つまり使用時にねじり応力が最大になる位置に付きます。したがってばねは間隔をとり、バスケットやラックで流します。治具の判断は液の判断よりコストも重要度も上です。フックのある引張ばねはもう一つ問題を抱えます。フックの曲げ部は、何かをする前からすでに部品で最も応力の高い場所だからです。
この形状で扱う鋼種
主な用途分野

ねじ・公差・寸法規格
ばねはねじではなく線材から規定します。EN 10270-1 が SL・SM・SH・DH の各級のパテンチング冷間引抜き非合金鋼線を、EN 10270-2 がオイルテンパー線を扱います。日本側は JIS G 3521 と JIS G 3522 が硬鋼線とピアノ線、JIS G 3560 がオイルテンパー線、JIS G 4801 が SUP のばね鋼です。設計と公差は EN 13906-1 と EN 15800、皿ばねは DIN 2093 です。通すべきゲージはなく、受入特性は規定長さにおける荷重です。
サイズ範囲と治具のかけ方
線径およそ 0.5〜6 mm、自由長さおよそ 100 mm までが小物表面処理の現実的な範囲です。制約は炉や槽の大きさではなく、ばねを絡ませず互いに触れさせずに保持し搬送できるかどうかです。これはハンドリングの制約であり、ばねの仕事がkgではなく本数で見積もられる理由でもあります。
強度の規定
ばねに ISO 898 の強度区分はありません。完成品の引張試験で証明する部品ではないからです。オイルテンパー線は水素脆化のしきい値を明らかに上回る硬さ域で使われ、設計は線材の引張等級、密着長さでの応力、EN 15800 に基づく規定試験長さでの荷重から進めます。成形後は低温焼なまし(ひずみ取り)を行い、パテンチング冷間引抜き線はオイルテンパー線より低い温度を使います。その後セッチングを行い、永久変形を客先の組付けではなく工場内で先に出しておきます。
この部品タイプに強度区分は存在しません。図面にそれらしい指示がある場合は仕様の誤りで、着手前に修正すべきものです。
硬さ: oil-hardened and tempered wire typically 44–52 HRC; stress relief ≈ 200–300 °C (patented cold drawn) or 380–420 °C (oil tempered)
皮膜厚さとその制約
ばねは本ページの部品の中で表面応力が最も高く、硬さも脆化のしきい値をはるかに上回るため、電気めっきは選べる中で最も落ち着かない選択肢です。指定される場合は皮膜を薄くし、コイル内側は外側より必ず薄くなることを理解しておく必要があります。密ならせんの内部に電流は届きません。防食要求が本当に厳しい場合、ISO 10683 が記述するような塗布・焼付けで電解工程を含まない亜鉛フレーク系が、締結業界で使われるルートです。水素をまったく持ち込まないからです。
- ASTM B633 SC 1 — Fe/Zn 5
- zinc flake to ISO 10683 where the corrosion target is heavy
水素脆性除去処理
ばねでは二つのルールが衝突し、その衝突が最も激しいのがこの部品タイプです。ISO 4042 は 390 HV をはるかに超えるため、できるだけ速やかに、通常は4時間以内に 190〜230 °C で処理することを求めます。しかしばねは成形後にすでにひずみ取りを受けており、線種によってはその温度がベーキングの窓とさほど離れていません。近い温度で再加熱すればへたり、自由長さが縮み、試験長さでの荷重が落ち、腐食とはまったく無関係な理由で不良になります。ベーキング温度は線種と元のひずみ取り温度に照らして決め、処理後に荷重を再確認しなければなりません。
ベーキング要否の判定この部品の壊れ方
- めっき後の遅れ破壊
表面処理から数時間〜数日後に割れます。フックではなくコイル部で割れることも多くあります。高い表面応力に、しきい値を超える硬さと電解由来の水素が重なる組み合わせは締結分野で最悪であり、ばねはその頂点にあります。
- 脱炭した表面から始まる疲労き裂
ばね鋼の表面にできた炭素の乏しい軟化層は疲労寿命を大きく縮めます。最大応力が表面にあるからです。部品は全体硬さの検査に合格し、繰返し試験で落ちます。理由が分かるのは金属組織の断面観察だけです。
- 荷重低下と自由長さの縮み
寸法は正しいのに出る力が違う状態です。多くは元のひずみ取り温度を超える熱を受けた結果で、同じ注文の別部品向けに設定されたベーキングであることがよくあります。
- コイル接触部の孔食
工程中にコイルどうしが触れていた箇所は皮膜が薄いか無く、そこから腐食が始まります。稼働するばねではコイル外表面の腐食ピットが疲労の起点になり、外観上の欠陥が力学的な破損に変わります。
ロットで確認すべき項目
- 1断面での脱炭深さ樹脂埋め・腐食した断面で ISO 3887 により測定します。ばねにとってこれは単独で最も情報量の多い試験であり、他のどの検査でも見えません。全体硬さの平均値では、深さが1ミリの何分の一かの表層は見えないからです。
- 2試験長さでの荷重を処理前後で測るEN 15800 が公差の枠組みを与えます。熱を伴う工程の前後で荷重を測ることが、ベーキングや焼付けでばねがへたっていないことを証明する唯一の方法であり、市場返品より遥かに安価です。
- 3線の断面で硬さを測るISO 6507-1 または ISO 6508-1 に基づき、湾曲した外表面ではなく樹脂埋め横断面で測ります。細い線の丸い外面での読みは偏り、通常は低めに出ます。
- 4コイル外側での皮膜厚さ測定位置を報告し、らせん内側は薄くなることを前提にしてください。曝露姿勢と判定面の両方を示さなければ、ISO 9227 の塩水噴霧結果の意味はごく限られます。
試験方法
このページで引用した規格
技術者からよくある質問
ばねに電気亜鉛めっきはそもそも可能ですか+
可能ですが、既定路線ではなく意図した判断であるべきです。部品は ISO 4042 のしきい値を超えるためベーキングは必須で、時間管理が重要です。そのうえで、ばねがへたらないようベーキング温度を線材の元のひずみ取り温度と突き合わせる必要があります。高荷重・高繰返しのばねには、ISO 10683 が記述する非電解の皮膜系がこの衝突自体を回避します。
めっき後にばねの力が落ちたのはなぜですか+
ほとんどの場合めっきではなくベーキングです。使用した除去処理温度が、成形後のひずみ取り温度と同等以上であれば部品はへたり、自由長さが縮み、試験長さでの荷重が落ちます。線種、元のひずみ取り温度、荷重仕様を注文と一緒にお送りいただければ、それに合わせてベーキングを設定します。
ばねを先に壊すのは腐食と脱炭のどちらですか+
繰返し荷重を受けるばねでは、通常は脱炭です。最大応力を受けるまさにその表層から炭素を奪い、しかも部品が天候にさらされる前からすでに存在しているからです。腐食はより遅く、より目に見える殺し方をします。塩水噴霧の時間だけを規定して表面脱炭に何も触れていない図面は、二番目の問題を管理して一番目を無視していることになります。
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公開規格と一般的な締結部品の金属学に基づく解説です。数値はいずれも部品・材料・適用仕様によって変わる代表的な範囲であり、お客様の図面と適用規格が常に優先します。皮膜の指定表記は図面で要求できる内容を示すものであり、試験なしにお客様の部品で保証される結果ではありません。

