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部品タイプ別

ピン — ねじ公差ではなく径公差で決まる部品

ピンには強度区分もねじもありません。あるのは幅わずか8ミクロンの m6 の径公差帯で、亜鉛皮膜はそれだけで埋めてしまいます。ISO 8734 の硬さ、スプリングピンの二面せん断、そしてリン酸塩皮膜を選ぶ理由。

主要仕様の一覧

ピン — ねじ公差ではなく径公差で決まる部品
ねじ・寸法規格ISO 8734 · m6 diameter fit
公差域クラスm6 (dowel) · h8 (taper)
バレル可能範囲ø1.5 – ø13, up to ≈ 60 mm
ラック / バスケット≥ ø16 or long pins that bow
強度の規定no property class — double shear + m6
ISO 4042 ベーキング電気めっきなら通常必須
確認日2026-08-04

ピンは位置決めとせん断のための部品です。ねじも、強度区分も、保証荷重もありません。あるのは m6 で管理された研削径で、6 mm のピンなら幅わずか8ミクロン。どんな皮膜もそこへ直接食い込みます。この一つの制約が、このページの残りをほぼ決めています。

この形状がこの工程になる理由

平行ピン(ノックピン)は研削された円柱で、その機能のすべてが締まりばめまたは中間ばめです。したがって真直度、真円度、表面粗さは意匠ではなく機能特性です。スプリングピンは逆の発想で、意図的に大きく作った巻き筒が打ち込み時に縮むため、表面状態が縮みを妨げてはなりません。同じ言葉が公差の思想が正反対の二つの部品を含むので、規格を書いていない図面は曖昧です。

主な用途分野

機械自動車・部品

ねじ・公差・寸法規格

適用されるのはねじ規格ではなく寸法規格です。ISO 2338 が非焼入れ平行ピン、ISO 8734 が焼入れ平行ピン、ISO 8735 が抜き取り用めねじ付き平行ピン、ISO 2339 がテーパピンを扱います。スプリングピンは構造で分かれ、ISO 8752 と ISO 13337 がスリット形、ISO 8748 が巻き形です。ISO 1234 は割りピン、JIS B 1354 は日本の平行ピン系列です。平行ピンは通常 m6、テーパピンは小径側が h8 です。

ISO 2338ISO 8734ISO 8735ISO 2339ISO 8752ISO 8748ISO 13337ISO 1234JIS B 1354

サイズ範囲と治具のかけ方

径 1.5〜13 mm、長さおよそ 60 mm までがバレルの範囲です。より長いピンはバレル内で互いに押されて曲がるため、ラックにするか、より多くの場合は無処理のままにします。実際の限界は径ではなく細長さで、細長いピンは皮膜の問題より先に、熱いバレルの中で自重による永久曲がりを拾います。

バレル可能範囲
ø1.5 – ø13, up to ≈ 60 mm
ラック / バスケット
≥ ø16 or long pins that bow
バレル
ø1.5 – ø20 mm

強度の規定

ピンに強度区分はなく、証明すべき引張の等級もありません。荷重形態が引張ではなく二面せん断だからです。ISO 8734 の焼入れ平行ピンは硬い状態で供給され、耐摩耗性と引き換えに靱性のほとんどを失います。焼入れ平行ピンは曲がってから折れるのではなく、そもそも曲がることを想定していません。スプリングピンは ISO 8752 と ISO 13337 の最小二面せん断荷重で規定され、その値は硬さではなく筒の肉厚と材料で決まります。

この部品タイプに強度区分は存在しません。図面にそれらしい指示がある場合は仕様の誤りで、着手前に修正すべきものです。

硬さ: ISO 8734 hardened dowel pins: high-50s to mid-60s HRC (≈ 600–800 HV)

ISO 8752ISO 13337

皮膜厚さとその制約

これはピン版の余裕問題で、ねじよりさらに厳しいものです。6 mm ピンの m6 は幅約8ミクロンで、電気めっきは皮膜厚さの2倍だけ径を増やします。ボルトでは薄いとされる皮膜が、ピンでははめあいを単独で食いつぶします。実務では、焼入れ平行ピンは素地のまま防錆油を塗るか、処理後に研削するか、ほとんど盛り上がらない表面処理を使います。リン酸塩皮膜が定番の答えです。皮膜の一部が表面に積み上がるのではなく素地の中へ成長するため、得られる防錆に対して消費する径が小さくて済みます。

皮膜が収まるべき余裕
対象部位ø6 mm dowel pin, m6
利用できる余裕+12 / +4 µm — an 8 µm band
皮膜厚さの上限coating adds 2× thickness to a diameter
一般的な皮膜指定
  • ASTM B633 SC 1 — Fe/Zn 5 (only where the fit allows)
  • phosphate + oil where it does not
関連する計算ツール: 硬さ換算(HRC / HV / HB)

水素脆性除去処理

電気めっきなら通常必須

焼入れ平行ピンは ISO 4042 の約 390 HV というしきい値をはるかに超え、いったん割れが入れば吸収する靱性がほとんど残っていません。そうしたピンを電気めっきするなら、4時間以内の除去処理は選択肢ではありません。より一般的で誠実な判断は、そもそも電気めっきしないことです。リン酸塩皮膜と防錆油、あるいは素地の研削面のままなら、水素を完全に避けつつはめあいを守れます。非焼入れの ISO 2338 ピンは別の話で、しきい値より十分下にあります。

ベーキング要否の判定

この部品の壊れ方

  • 曲がらずに折れる

    全体焼入れの平行ピンには靱性がほとんどありません。設計外の荷重、すなわち芯ずれ組付け、ハンマー、衝撃があれば、変形せずにきれいに折れます。破面が脆く見えるのは、実際に脆いからです。

  • 処理後に穴へ圧入できない

    径が皮膜厚さの2倍だけ増え、m6 の帯を使い切りました。処理前は合格していたピンが処理後に干渉します。だからこそピンの図面には公差が処理前か処理後かを明記すべきです。

  • 長手方向の焼割れ

    高炭素鋼や軸受鋼のピンは焼入れ中に縦方向に割れ、圧入するまで気づかないことが多くあります。断面変化、冷却の激しさ、焼入れ後の焼戻し遅れが典型的な要因です。

  • スプリングピンの径方向の力が落ちる

    過焼戻しを受けた、あるいは別部品向けに設定されたベーキングで加熱されたスリット形・巻き形ピンは、穴壁を押し返さなくなります。打ち込みは普通にできるのに何も固定せず、次第に緩みます。

ロットで確認すべき項目

  1. 1処理後の径を m6 の帯に対して測る意味があるのは完成品での測定です。m6 が研削後の状態に適用されるのか納入状態に適用されるのかを図面に明記してください。何らかの皮膜が付いた時点で、両者は別の部品です。
  2. 2断面が耐えられる方法で硬さを測る径が大きければ ISO 6508-1 の通常ロックウェルが使えます。小径のピンには表面ロックウェル HR15N か、樹脂埋め断面での ISO 6507-1 のビッカースが必要です。曲面は補正を入れない限りロックウェルの読みを偏らせます。
  3. 3表面粗さと真直度平行ピンははめあいそのものなので、表面状態と真直度は受入特性です。粗い、あるいは曲がったピンは取付け時に穴をかじり、本来提供すべき位置決めを壊します。
  4. 4スプリングピンの二面せん断試験ISO 8752 と ISO 13337 は最小二面せん断荷重を規定しています。スプリングピンを証明するのは硬さの値ではなくこの試験であり、図面から最も抜け落ちやすい項目でもあります。

試験方法

ISO 6508-1ISO 6507-1ISO 3497ISO 8752ISO 4287 (Ra)

このページで引用した規格

技術者からよくある質問

焼入れ平行ピンに電気亜鉛めっきはできますか+

技術的には可能ですが、通常は誤った選択です。皮膜は自身の厚さの2倍だけ径を増やし、小径ピンの m6 では受け止められません。また硬さが ISO 4042 のしきい値をはるかに超えるため、ロットは4時間以内のベーキングが必要になります。リン酸塩皮膜と防錆油なら、はめあいを守りつつ水素を避けられます。はめあい等級をお知らせいただければ、当社ならどのルートを選ぶかをお伝えします。

平行ピンの硬さはどのくらいが適切ですか+

ISO 8734 は靱性ではなく耐摩耗性を狙った高めの硬さ範囲で供給し、正確な範囲は形式と材料で変わります。衝撃や芯ずれに耐える必要があるなら、その硬さはむしろ弱点であり、非焼入れの ISO 2338 ピンか、芯部が粘い浸炭ピンの方が適切な仕様です。

圧入するとピンが割れるのはなぜですか+

ピンが正しくて穴が誤っているか、ピンが最初から割れを抱えていたかのどちらかです。まず穴の公差と芯出しを確認してください。芯ずれや細い穴に入る焼入れピンは、曲げられているのと同じです。穴に問題がなければ、割れたピンを断面観察してください。熱処理の焼割れとめっきの水素割れはどちらも破面に現れますが、対策はまったく異なります。

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公開規格と一般的な締結部品の金属学に基づく解説です。数値はいずれも部品・材料・適用仕様によって変わる代表的な範囲であり、お客様の図面と適用規格が常に優先します。皮膜の指定表記は図面で要求できる内容を示すものであり、試験なしにお客様の部品で保証される結果ではありません。

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