ISO 2639 — 浸炭後の有効硬化層深さの測定
有効硬化層深さと全硬化層深さの違い、既定の限界硬さ 550 HV 1、締結部品のどこで測るか、そして曖昧さをなくす記載方法。
| 関連サービス | 熱処理 |
|---|---|
| 試験・測定 | ISO 2639 |
| 別の表記 | ISO 2639:2002, DIN 50190-1, SAE J423, ASTM E384 (microhardness) |
| 更新 |
適用範囲 — および対象外の事項
ISO 2639 は、浸炭焼入れした鋼の有効硬化層深さの求め方を規定します。作製した断面上で表面から内部へ微小硬さの推移を測定し、硬さが規定の限界硬さ(既定では 550 HV 1)まで低下する位置までの距離を有効硬化層深さ(CHD)として報告します。これは「測定」の規格です。必要な硬化層深さを教えるものではなく、同じ限界硬さを窒化層へそのまま持ち込むものでもなく、図面に代わるものでもありません。図面には深さ、既定と異なる場合の限界硬さ、測定位置を明記する必要があります。
規格は著作権のある文書です。当社は範囲・意図・実務上の適用を自らの言葉で説明しています。最新版は ISO、ASTM、DIN または各国の規格機関から入手してください。
生産で実際に効いてくる条項
- 1有効硬化層深さと全硬化層深さは別の数値です。有効深さは限界硬さで止まり、全深さは影響を受けていない芯部まで続きます。「硬化層 0.3 mm」だけでは曖昧です。
- 2既定の限界硬さは 550 HV 1 です。芯部が硬い場合(およそ 450 HV 以上)、既定値は意味を失うため別の限界硬さを取り決めて明記します。
- 3締結部品では測定位置が重要です。ねじ山頂、谷、軸部で硬化層深さは実際に異なります。炭素は露出したすべての面から拡散するからです。
- 4試料の作製も結果の一部です。断面は直角に、埋込みと研磨では端部を丸めず、硬さ規格の圧痕間隔規則も守ります。
- 5推移測定は破壊試験のため、硬化層深さはロットから抜き取って確認する性質のものです。犠牲部品や同炉のクーポンを使います。
- 6深ければ良いわけではありません。小さな締結部品では硬化層が深すぎると芯部の靭性が下がり、脆性破壊のリスクが上がります。
参照表
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有効硬化層深さ — 参照値
| 項目 | 参照値 |
|---|---|
| 既定の限界硬さ | 550 HV 1 |
| 硬さ推移測定の試験力 | HV 1 (9.807 N) |
| 代表的な圧痕間隔 | ≈ 0.1 mm |
| 図面での表記 | CHD 550 HV 1 = 0.20–0.35 mm |
芯部硬さが既定の限界硬さに近い、または超える場合(およそ 450 HV 以上)は、別の限界硬さを取り決めて図面に明記する必要があります。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
図面・注文書に書くべきこと
- 有効硬化層深さの範囲を mm で、限界硬さとともに —「CHD 550 HV 1 = 0.20〜0.35 mm」と書けば曖昧さはありません。
- 測定位置:ねじ側面、谷、山頂、軸部、クーポン。形状が難しければスケッチを添えます。
- 必要な表面硬さと芯部硬さを、硬化層深さとは別に明記します。
- ロットあたりの抜取数と、硬さ推移の報告書を納入時に添付するか。
引用が曖昧なときに起きること
- 限界硬さも位置もなしに「硬化層 0.2〜0.4」と書く。3 社が 3 通りの数値を、いずれも正しく報告します。
- 芯部がすでに 550 HV を超えている部品に既定の限界硬さを当てはめる。
- ねじ山頂で測定し、谷を前提に書かれた要求と比較する。
- 硬化層は深いほど安全だと考える。
この規格が引用される不具合
この判断が必要になる鋼種
よくあるご質問
小径の浸炭締結部品では硬化層深さはどれくらいが普通ですか。+
小物での有効硬化層深さは、薄いタッピンねじのおよそ 0.1 mm から、やや大きい浸炭品の 1.0 mm 程度までが一般的です。ただしその数値は一般表ではなく個々の部品と図面に属します。図面をお送りいただければ実現可能な範囲を確認します。
硬さ推移の報告書は出せますか。+
当社の試験室は微小硬さの推移測定で硬さと硬化層深さを測定します。ご注文で求められる場合、試験条件を明記してロットごとに結果を報告します。
客先が言っているのは有効深さですか、全深さですか。+
確認し、書面に残してください。自動車や締結部品の図面では 550 HV 1 での有効硬化層深さを指すことが多いのですが、この種の思い込みこそ初品不合格の原因です。
本ページの数値は、部品・皮膜システム・適用仕様に依存する代表的な業界値であり、保証値ではありません。必ず有効版と客先図面で確認してください。本ページはそのいずれにも代わりません。
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本リファレンス内の他の規格
図面をお送りください。本規格と突き合わせて確認します
現状の図面または仕様の記載、強度区分やめっき要求、ねじ寸法と公差域、可能であれば実物をお送りください。記載どおりに加工できる項目、そのねじでは計算上成立しない項目、そして要求が見積・検査・説明可能になるために追記が必要な項目をお伝えします。
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