用語集
熱処理・金属表面処理 用語集
当社のサービスと知識ベースで使う冶金・焼入れ・めっきの用語を平易な言葉で解説します。
焼入れ・表面処理された小物部品(ねじ、ナット、ボルト、ワッシャー)を扱う技術者・購買担当者のためのクイックリファレンス。用語はテーマ別に分類し、詳しく解説したページへのリンクを付けています。
ミクロ組織と相
- オーステナイト (Austenite)
- 高温で安定し多量の炭素を固溶できる、面心立方 (FCC) の鉄の相。焼入れの前に鋼をオーステナイト域まで加熱することで硬化が可能になる。詳しく見る
- セメンタイト (Cementite)
- 硬く脆い化合物である鉄炭化物 (Fe3C)。鋼中に分散すると強度と耐摩耗性を高める。詳しく見る
- パーライト (Pearlite)
- オーステナイトが中程度の速度で冷却する際に生じる、フェライトとセメンタイトの層状混合組織。中程度の強度と適度な延性をもつ。詳しく見る
- フェライト (Ferrite)
- 炭素をほとんど固溶しない、軟らかく延性のある体心立方 (BCC) の鉄の相。焼なまし状態の低炭素鋼における主要相である。詳しく見る
- ベイナイト (Bainite)
- パーライトとマルテンサイトの中間の冷却速度で生じる、フェライトと炭化物の微細な混合組織。強度と靱性のバランスに優れる。詳しく見る
- マルテンサイト (Martensite)
- オーステナイトを十分速く冷却し、炭素を歪んだ格子に閉じ込めたときに生じる非常に硬く脆い組織。焼入れ鋼の強度を担い、脆さを抑えるため通常は焼戻しを行う。詳しく見る
- ミクロ組織 (Microstructure)
- 顕微鏡で観察される金属中の相と結晶粒の配列。硬さ、強度、靱性を決定づける。詳しく見る
- 結晶粒度 (Grain size)
- 金属中の結晶(粒)の平均的な大きさ。一般に粒が細かいほど強度と靱性の両方が向上する。詳しく見る
- 残留オーステナイト (Retained austenite)
- 焼入れ時にマルテンサイトへ変態せず、焼入れ鋼中に残るオーステナイト。多すぎると硬さが低下し後の寸法変化を招くため、サブゼロ処理で低減する。詳しく見る
熱処理プロセス
- サブゼロ処理 (Sub-zero treatment)
- 焼入れ鋼を0℃をはるかに下回る温度まで冷却(深冷)し、残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させて寸法を安定させ硬さを高める処理。詳しく見る
- メッシュベルト炉 (Mesh-belt furnace)
- 小物部品を金網ベルトに載せて連続搬送する炉。締結部品を大量かつ均一に熱処理するのに適する。詳しく見る
- 球状化焼なまし (Spheroidize annealing)
- 低温で長時間行う焼なましで炭化物を球状化し、高炭素鋼を最も軟らかく被削性の高い状態にする処理。詳しく見る
- 焼なまし (Annealing)
- ゆっくり加熱・冷却するサイクルで、粗く安定した組織を作り、鋼を軟化させ応力を除去し被削性を高める処理。詳しく見る
- 焼ならし (Normalizing)
- 鋼を変態域以上に加熱し、静止空気中で冷却して結晶粒を微細化し、均一な性質を得る処理。詳しく見る
- 焼入れ (Quenching)
- 鋼をオーステナイト域から油・水・ポリマー・ガスなどで急冷し、硬いマルテンサイトを生成する処理。詳しく見る
- 焼入れ性 (Hardenability)
- 焼入れによって鋼を硬化できる深さ。合金固有の性質で、最高硬さとは別のもの。合金量が多い鋼ほど深く硬化する。詳しく見る
- 焼戻し (Tempering)
- 焼入れした鋼を中程度の温度に再加熱し、脆さと内部応力を低減する処理。硬さをわずかに犠牲にして靱性を大きく高める。詳しく見る
- 浸炭 (Carburizing)
- 低炭素鋼の表面へ高温(約850~950℃)で炭素を拡散させ、焼入れして靱性のある芯部の上に硬化層を形成する表面硬化処理。詳しく見る
- 浸炭窒化 (Carbonitriding)
- 浸炭に似た表面硬化処理だが、炭素とともに窒素を添加する。より低温で行え、硬化層の焼入れ性が高まる。詳しく見る
- 全体焼入れ (Through hardening)
- 表面から芯部まで部品を均一に硬化する処理。断面全体で荷重を受ける用途に用いる。中~高炭素の合金鋼に最適。詳しく見る
- 窒化 (Nitriding)
- 比較的低温で窒素を表面へ拡散させ硬い窒化物を生成する表面硬化処理。耐摩耗性と疲労強度に優れ、変形が少なく焼入れも不要。詳しく見る
- 表面硬化 (Case hardening)
- 芯部を靱性のある状態に保ったまま部品の表層のみを硬化する処理。通常は焼入れ前に表面へ炭素や窒素を添加して行う。詳しく見る
- 有効硬化層深さ (Effective case depth)
- 表面から硬さが規定の限界値(一般に550HV)まで低下する点までの深さ。硬化層の指定と検証に用いる。詳しく見る
硬さと試験
めっきと表面処理
- Cr3+(三価クロム)
- RoHS/REACH に適合した現代の亜鉛クロメート処理に用いる Cr(III) 系化学。有害な六価クロムに代わるもの。詳しく見る
- Cr6+(六価クロム)
- 旧来の Cr(VI) 化成処理化学。有毒で発がん性があるため現在は RoHS/REACH で規制され、Cr3+ に置き換えられている。詳しく見る
- クロメート化成処理 (Chromate conversion)
- めっき後の化学処理で、亜鉛皮膜上に薄い保護膜を形成し、耐食性を高めて色(白・青・黄/レインボー)を付与する。詳しく見る
- バレルめっき (Barrel plating)
- 多数の小物部品を回転する多孔バレル内で転動させてめっきする方法。締結部品に対し効率的で低コスト。詳しく見る
- ラックめっき (Rack plating)
- 部品を治具(ラック)に保持してめっきする方法。大きい・繊細・位置決めが必要な部品に用い、皮膜の均一性を制御する。詳しく見る
- リン酸塩皮膜(亜鉛/マンガン)
- 亜鉛またはマンガンのリン酸塩で結晶層を作る化成皮膜。防食、耐摩耗、塗料・油の密着性向上に役立つ。詳しく見る
- 亜鉛めっき(電気めっき)
- 鋼部品の表面に電解で亜鉛層を析出させ、犠牲防食を与える処理。通常はその後クロメート処理を行う。詳しく見る
- 黒染め (Black oxide)
- 鋼の表面に薄い黒色のマグネタイト皮膜を形成する化成処理。暗色の外観と軽度の防食を与え、寸法変化はほとんどない。詳しく見る
- 皮膜厚さ (Coating thickness)
- めっきや皮膜の厚さで、多くはマイクロメートルで測る。耐食寿命やねじの嵌合に影響する重要な仕様。詳しく見る
- 不動態化 (Passivation)
- 薄い保護酸化皮膜を形成する処理。ステンレス鋼では耐食性を回復させ、亜鉛めっきではクロメート化成処理の工程を指す。詳しく見る
特性・規格・欠陥
- ベーキング(水素除去)
- めっき後できるだけ早く高強度めっき部品を加熱(通常約200℃で数時間)し、吸収した水素を追い出して脆化を防ぐ処理。詳しく見る
- 引張強さ (Tensile strength)
- 材料が破断するまでに耐えられる最大応力。通常はメガパスカル (MPa) で表す。詳しく見る
- 塩水噴霧試験 (ASTM B117 / ISO 9227)
- 部品を塩霧チャンバーにさらす促進腐食試験。白錆や赤錆が発生するまでの時間が皮膜の耐久性を示す。詳しく見る
- 強度区分 (Property class, ISO 898-1)
- 鋼製締結部品の強度等級(例:8.8、10.9、12.9)。ISO 898-1 で規定され、引張強さと降伏強さを数値で表す。詳しく見る
- 降伏強さ (Yield strength)
- 材料が永久変形を始める応力。これ以下では部品は元の形状に戻る。詳しく見る
- 焼割れ (Quench crack)
- 焼入れ時の熱応力と変態応力によって生じる割れ。鋭い角、高炭素、急冷しすぎと関連することが多い。詳しく見る
- 水素脆化 (Hydrogen embrittlement)
- 酸洗やめっき中に吸収された水素によって延性が失われる現象。高強度の締結部品が荷重下で割れることがある。詳しく見る
- 赤錆 (Red rust)
- 保護皮膜が消耗した後に現れる素地鋼の赤い酸化鉄腐食。塩水噴霧試験では不合格(破壊)の判定点として用いられる。詳しく見る
- 脱炭 (Decarburization)
- 高温処理中に鋼の表面から炭素が失われる現象。制御しないと表面の硬さと強度が低下する。詳しく見る
- 熱処理変形 (Distortion)
- 熱処理中に熱応力と変態応力によって生じる部品の寸法変化や反り。治具、部品設計、工程選定で制御する。詳しく見る
- 白錆 (White rust)
- 亜鉛皮膜が腐食し始めた際、素地の鋼が侵される前に最初に現れる白い粉状の亜鉛腐食生成物。詳しく見る
- 保証荷重 (Proof load)
- 締結部品が永久伸びを生じずに耐えなければならない最大の引張荷重。強度区分によって定められる。詳しく見る