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部品タイプ別

ねじ・小ねじ — 余裕が小さく、リセスがあり、先端が浸炭されている

M3 のねじで皮膜の予算が 5 µm しかない理由、ISO 2702 が表面硬さと芯部硬さでタッピンねじを規定する方法、ISO 4757 のリセスゲージ、そしてベーキングが必要になる場面。

主要仕様の一覧

ねじ・小ねじ — 余裕が小さく、リセスがあり、先端が浸炭されている
ねじ・寸法規格ISO 965-1 · 6g · ISO 1478 ST
公差域クラス6g
バレル可能範囲M1.6 – M8, ST2.2 – ST6.3
ラック / バスケットrare — long or cosmetic screws only
強度の規定ISO 898-1 4.8 – 12.9 · ISO 2702 for ST
ISO 4042 ベーキング区分で決まる — 10.9 以上
確認日2026-08-04

小ねじは数字が窮屈になる領域です。M3 では 6g の余裕が合計 20 µm しかなく、亜鉛の予算は約 5 µm。皮膜で埋まった十字穴はビットを受け止められません。そして浸炭されたタッピンねじの表面硬さは芯部から想像されるより遥かに高く、その表面こそ水素が最初に狙う場所です。

この形状がこの工程になる理由

小ねじは六角ではなくリセスで回すため、リセスは意匠ではなく機能寸法です。ISO 4757 が十字穴の形状を定めており、これはゲージで見る特徴です。皮膜も持ち出し液もリセスの隅に溜まり、ビットが底まで入らないねじは最初の1回転でカムアウトして穴をなめます。小ねじは質量が非常に軽く、バレルの装入はkgではなく本数で数えます。

主な用途分野

電子機器自動車・部品一般製造業・中小企業

ねじ・公差・寸法規格

小ねじは ISO 261 の並目系列を ISO 965-1 の 6g で使い、頭部形状は ISO 4762(六角穴付き)、ISO 7045(十字穴付きなべ)、ISO 7046-1(皿)から取ります。タッピンねじは別物です。そのねじは ISO 1478 の ST 形であってメートルねじではないため、ISO 898-1 は適用されず、ISO 965 もその公差を記述しません。図面でこの二つを混同することが、この部品タイプで最も多い仕様の誤りです。

ISO 261ISO 965-1ISO 4762ISO 7045ISO 7046-1ISO 4757ISO 1478 (ST)ISO 2702JIS B 0205JIS B 1111

サイズ範囲と治具のかけ方

M1.6〜M8 と ST2.2〜ST6.3 がバレルの範囲で、小ねじにとっては事実上これが唯一採算の取れる範囲です。小ねじはバレルで重なる以上にラックで絡み、千本当たりのコストは転動させて初めて成立します。実際の制約は袋状リセスからの持ち出し液と、硬い部品同士の衝突によるねじの損傷で、いずれも装入量の問題であって部品サイズの問題ではありません。

バレル可能範囲
M1.6 – M8, ST2.2 – ST6.3
ラック / バスケット
rare — long or cosmetic screws only
バレル
M1.6 – M8

強度の規定

軸部が全径の小ねじには ISO 898-1 の区分が適用されます。低炭素鋼の 4.8 と 5.8、合金鋼の 8.8、10.9、12.9 で、ISO 4762 の六角穴付きねじは通常 12.9 です。タッピンねじとドリリングタッピンねじには強度区分がまったくなく、代わりに ISO 2702 で規定されます。最低表面硬さを定め、芯部は意図的にずっと軟らかく保ち、呼び径で変わる浸炭層深さの範囲を与えます。相手のねじを自ら成形できる硬さと、その最中に折れない靱性の両立です。ISO 10666 はドリリング形の穴あけ試験とトルク試験を追加します。

強度区分
4.85.88.810.912.9

硬さ: tapping screws to ISO 2702: surface ≥ 450 HV, core ≈ 270–370 HV

ISO 898-1ISO 2702ISO 10666ISO 6157-1

皮膜厚さとその制約

同じ4倍の計算を当てはめると、サイズそのものが効いてきます。M3 並目の 6g 余裕は 20 µm で上限は約 5 µm、M4 は 22 µm で約 5.5 µm です。だから小ねじは ASTM B633 の薄い側で指定されるのが普通で、M3 のねじに 12 µm を求めることはゲージ不合格を求めることに等しいのです。より重い防食要求が本当に必要なら、誠実な選択肢はサイズを上げるか、皮膜系を変えるか、厚さの測定位置をねじではなく頭部にする仕様に改めることです。

皮膜が収まるべき余裕
対象部位M3 × 0.5 external thread, 6g
利用できる余裕|es| = 20 µm
皮膜厚さの上限≈ 5 µm on the flanks
一般的な皮膜指定
  • ASTM B633 SC 1 — Fe/Zn 5
  • SC 2 — Fe/Zn 8 (M6 and above only)
関連する計算ツール: めっき厚さ → ねじゲージ(通り/止まり)

水素脆性除去処理

区分で決まる — 10.9 以上

12.9 の六角穴付きねじは ISO 4042 のしきい値を大きく上回ります。分かりにくいのは、浸炭タッピンねじも同じだという点です。芯部は軟らかく名目上の区分も低いものの、表面は割れるだけの硬さがあり、水素はまず表面を割ります。4時間のルールと 190〜230 °C の窓は両者に当てはまります。図面が 12.9 と重い防食を同時に求める場合、ISO 10683 が記述するような、塗布・焼付けで電解工程を含まない亜鉛フレーク系は、水素の発生源そのものを取り除きます。

ベーキング要否の判定

この部品の壊れ方

  • 最初の1回転でカムアウトする

    リセス隅の皮膜と乾いた持ち出し液でビットが底まで入りません。ビットが浮き上がってリセスがなめられ、ねじも皮膜も検査に合格しているのに使えない部品になります。

  • タッピンねじを締めている途中で頭が飛ぶ

    芯部が硬すぎる、または呼び径に対して浸炭層が深すぎる浸炭ねじのねじり破断です。ねじを成形して抵抗が上がった時点で、降伏せずにねじ切れます。これは ISO 2702 の芯部硬さの問題であって皮膜の問題ではありません。

  • 12.9 六角穴付きねじの遅れ割れ

    組付けから数時間〜数日後に頭部と軸部の境で脆性破断します。12.9 は通常使用される締結部品の中で最も水素脆化に敏感で、六角穴付き頭部はまさに水素が集まる位置に応力を集中させます。

  • めっき後にねじゲージが通らない

    M4 以下は余裕が非常に小さく、わずかな厚さの増加や亜鉛の上の厚い化成皮膜だけで、処理前は合格していた部品がリングゲージを通らなくなります。

ロットで確認すべき項目

  1. 1表面硬さと芯部硬さは別々の測定浸炭ねじは樹脂埋め断面で ISO 6507-1 により表面と芯部を別々に読み、浸炭深さは ISO 2639 で測ります。浸炭ねじに硬さの値を一つだけ与えても、有用な情報にはなりません。
  2. 2表面処理後のリセスゲージISO 4757 のリセスゲージを完成品で使います。めっき小ねじで最も省略されがちな検査であり、組立ラインを止める苦情に最もつながりやすい項目でもあります。
  3. 3ゲージが当たらない場所で厚さを測るISO 3497 で頭部と軸部を読み、ねじフランクは別に報告します。小ねじでは、防食を満たすねじ部の厚さとゲージを通すねじ部の厚さは、しばしば別の数字になります。
  4. 4ST ねじの締付け・ねじり試験ドリリング形とタッピン形については、ISO 10666 の穴あけ試験とトルク試験が表面と芯部のバランスの適否を教えてくれます。塩水噴霧より遥かに早く問題が表面化します。

試験方法

ISO 2702ISO 2639ISO 6507-1ISO 1502ISO 4757ISO 3497ISO 9227

このページで引用した規格

技術者からよくある質問

M3 の小ねじに 10 µm のめっきはできますか+

6g のリングゲージを通す前提なら、ねじ部では不可能です。M3 並目の余裕は 20 µm で、皮膜は自身の厚さの約4倍を消費するため、フランクの計算上の限界は約 5 µm です。頭部と軸部で 10 µm は可能です。図面がねじ部にも求めるなら、めっき前にねじを削るか仕様を変更する必要があります。

タッピンねじに強度区分はありますか+

ありません。ISO 898-1 の強度区分はメートルねじのボルト・ねじ・スタッドが対象です。タッピンねじは ISO 2702 が扱い、最低表面硬さ、より軟らかい芯部の範囲、呼び径ごとの浸炭深さの窓を規定します。図面でタッピンねじに 8.8 と書かれていれば、その指示は誤りで、着手前に修正すべきです。

めっき後にねじの頭が割れるのはなぜですか+

外から見ると同じに見える二つの機構があります。ISO 4042 のしきい値を超える硬さのねじを電気めっきし、期限内にベーキングしなければ、数時間〜数日後に水素で割れます。芯部が硬すぎる浸炭タッピンねじは、締めている最中にその場で折れます。時間差が両者を区別します。遅れて起きれば水素、その場で起きれば表面と芯部のバランスです。

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公開規格と一般的な締結部品の金属学に基づく解説です。数値はいずれも部品・材料・適用仕様によって変わる代表的な範囲であり、お客様の図面と適用規格が常に優先します。皮膜の指定表記は図面で要求できる内容を示すものであり、試験なしにお客様の部品で保証される結果ではありません。

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