
SUJ2 とは
SUJ2(JIS G 4805)は全体焼入れ軸受鋼で、炭素約 0.95–1.10%、クロム約 1.30–1.60%。100Cr6(EN)、AISI 52100(SAE)、GCr15(中国)に相当します。高炭素・高クロムで微細な炭化物が分散し、約 60–62 HRC まで全体硬化。耐摩耗性・接触硬さ・寸法安定性に優れます。国際規格は ISO 683-17。
基本工程:オーステナイト化→焼入れ→焼戻し
オーステナイト化: 約 830–860°C で保持し炭化物を適度に固溶(結晶粗大化を避ける)。炉雰囲気は脱炭防止のため管理。焼入れ: 油焼入れでマルテンサイト生成。焼入れままは約 63–65 HRC と高いが残留オーステナイトを含み脆い。焼戻し: 約 150–180°C の低温焼戻しで脆さを下げ約 60–62 HRC を保持。
残留オーステナイトと寸法安定性
SUJ2 のような高炭素鋼は焼入れ後に残留オーステナイトが残りやすく、軟らかく不安定です。時間や温度・荷重でマルテンサイトへ徐々に変態し部品がわずかに「成長」します——軸受・ゲージ・精密部品では大きな問題です。サブゼロの要否: 高い寸法安定性や最高硬さが必要な場合、焼入れ直後に約 −70〜−80°C(またはより低い深冷)で残留オーステナイトをマルテンサイト化します。サブゼロ後は必ず焼戻しします(新生マルテンサイトが脆いため)。
小物部品に適する理由
SUJ2 は局所的な接触・摩耗を受ける小物(ダウエル/ピン、ころ、ブッシュ、小軸、ボール)に多用されます。全体焼入れで断面の硬さが均一になり、ヘルツ接触面に適します。大量ロットでは各個体の硬さ均一性、薄物の変形、脱炭防止が課題で、雰囲気制御のメッシュベルト炉が多数の小物を連続かつ均一に加熱します。精密部品は焼入れ後研削が一般的で研削代を残します。(V.S. Heat Treatment は小物専門で、歯車や大軸などの大物は扱いません。)
発注と受入れ
指定項目:材種(SUJ2/100Cr6/52100)、目標硬さ範囲(例:60–62 HRC)、寸法安定性要求(サブゼロ要否)、変形限度、研削代、ロット重量/数量。硬さは HRC、または断面で HV 測定し、ロット毎に抜取り証明します。極薄物は HV 指定。硬さ範囲を過度に狭めると不良と費用が増えます。
よくある質問
SUJ2、100Cr6、52100 は同じ鋼ですか?+
実質同等です。SUJ2(JIS)、100Cr6(EN)、AISI 52100(SAE)、GCr15(中国)は同じ高炭素クロム軸受鋼系です。
SUJ2 はどの硬さになりますか?+
油焼入れと低温焼戻し(約 150–180°C)で通常約 60–62 HRC。焼入れままはより高いが脆く残留オーステナイトが多いです。
サブゼロは常に必要ですか?+
いいえ。寸法安定性や最高硬さが重要なとき(ゲージや精密部品)に用い、サブゼロ後は必ず焼戻します。



