公開日 2026年2月8日 • 読了 5 分
熱処理入門:適切な工程の選び方
焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならし — 各熱処理工程が実際に何をするのか、そして鋼種と用途に応じた選び方を解説します。

熱処理は一つの工程ではなく、その総称です。いずれも制御された加熱と冷却によって鋼の内部組織を変え、形状を変えずに硬さ・靭性・被削性を変化させます。適切な工程の選択は、二つの問いから始まります。部品の鋼種は何か、そしてどのように使われるか、です。
焼入れ(クエンチング)は鋼を硬くする工程です。組織がオーステナイトになるまで加熱し、その後急冷して炭素を閉じ込め、マルテンサイトという非常に硬い相を形成します。焼入れ直後の部品は硬いがもろく、そのままでは使えません。
焼戻しは必ず焼入れの後に行います。中程度の温度(おおむね150–650°C)へ再加熱してもろさを除き、靭性を回復させ、わずかな硬さと引き換えに実用的なバランスを得ます。焼戻し温度が最終硬さを決めます。低温焼戻しでは非常に硬く、高温焼戻しでは靭性が高まります。
焼なましは焼入れの逆です。鋼を加熱し、通常は炉内で非常にゆっくり冷却して、できるだけ軟らかくします。加工・成形がしやすくなり、内部応力も除かれます。さらなる機械加工の前や、硬くなりすぎた鋼によく用いられます。
焼ならしはその中間です。鋼を加熱して空気中で冷却し、結晶粒を微細化して、焼なましより均一でやや強い組織を得ます。最終焼入れの前に部品を均すために用いられ、結果を安定させます。
表面硬化は、芯まで焼きが入らない低炭素鋼向けです。表面に炭素を加える(浸炭)か、表面だけを加熱(高周波)して、靭性のある芯の上に硬く耐摩耗性のある外皮を作ります。摩耗に耐えつつ衝撃にも耐える必要のある部品に最適です。
どれを選ぶか? トルクを保持するボルトには焼入れ・焼戻しが必要です。さらに機械加工する部品にはまず焼なまし。表面が摩耗しつつ衝撃を受ける軸には表面硬化が必要です。鋼種も重要で、S45C や SCM435/440 は芯まで焼きが入りやすく、低炭素鋼は表面硬化のルートが必要です。
これを正しく行うことが、長持ちする部品と、早期にねじ山がつぶれ・割れ・摩耗する部品との違いになります。V.S. Heat Treatment は、雰囲気制御したメッシュベルト炉で焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならし・表面硬化を行い、ロットごとに硬さを検証します。どの工程が必要か分からない場合は、089-391-9662 へお電話いただければ無料でご提案します。


